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2026年06月07日

【2026年最新】ものづくり補助金とは?採択ポイントと製造設備投資への活用法を解説

中小製造業の経営や設備投資を後押しする「ものづくり補助金」は、新製品開発や生産プロセスの革新に取り組む企業にとって、計画の実現可能性を大きく左右する制度です。最大4,000万円・補助率最大2/3という支援内容は、スリッターや自動巻取機といった生産設備の導入を検討する際の意思決定を後押しします。一方で、申請枠の構成や賃上げ要件、加点項目、採択後の実績報告まで、押さえておきたい論点は多く、はじめての方は全体像を掴むだけでも時間がかかります。

さらに、補助金の本質は「採択された瞬間」ではなく「導入した設備を10年・20年と運用していく出口」にあるため、設備選定の質そのものが採択評価と長期成果の両方を左右します。本記事では、ものづくり補助金の制度概要から、2026年最新の申請枠・補助上限、対象者要件、補助対象経費、申請から採択・実績報告までの流れ、採択率を高めるための実務的なポイント、設備選定の視点までを、製造業の設備投資という観点から実務目線で解説します。

▼ 本記事でわかること

ものづくり補助金の制度概要と、2026年度の制度再編の動向

申請枠・補助上限額・補助率と、対象となる事業者・主な申請要件

補助対象経費の範囲と、単価50万円ルールなど見落としやすい注意点

申請から採択までの流れと、採択率を高める4つの実務ポイント

補助金活用と相性が良い設備選定の視点(安全設計・IoT・長期運用)

本記事の執筆背景と読み方

本記事を運営する株式会社キンダイは、スリッター・ロールスリッター・ヒートカット機・自動巻取機などのロール材加工機を1945年から製造している自動機器メーカーです。当社自身も、小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金など、複数の中小企業向け補助金で採択を受けてきた経験があり、事業計画書づくりから採択後の実績報告まで、申請者の立場で実務を理解しています。

本記事は、年度ごとの公募回情報も触れますが、それ以上に「設備投資で採択されやすい考え方」「補助金活用時に見落としやすい注意点」「長期運用を見据えた設備選定の視点」といった、年度を越えて使える内容を厚めに扱っています。最新の公募スケジュールや要件は、申請時にものづくり補助金総合サイトで必ずご確認ください。

項目 スリッター

ロールスリッター

スリッター刃数 複数枚 1枚
刃種類 シェアカット(シャーカット)
レザーカット(フェザーカット)
スコアカット
片刃
両刃
チップソー
スリット方式 ロールtoロールでスリット 管ごとスリット
スリット対象 フィルム、シートなどの連続した素材 ロール状の原反(紙管付き)
熟練度 熟練技術が必要で属人的な機械になりやすい タッチパネルで簡単設定、初心者や女性向き
精度や品質 高精度 安定した精度
作業効率 高速で大量生産向き
※同じ材料を生産する場合に限る
待ち時間なく効率的に、必要な分だけスリット可
安全性 操作者の技術による 刃物は使用中以外カバー内で安全
メンテナンス 刃物交換や位置調整が高難易度 誰でも簡単に交換や調整可
対象ニーズ 生産性重視、高精度重視 操作性や安定性重視
在庫削減や納期短縮に貢献
対象素材 小範囲
※素材によって機種が変わる
広範囲
※1台で広範囲に対応可

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目次

ものづくり補助金とは(2026年最新概要)

制度の正式名称と目的

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。所管は中小企業庁、運用は全国中小企業団体中央会等によるものづくり補助金事務局が担っています。新製品・新サービスの開発、生産性向上、賃上げ、地域経済の活性化を目的に、革新性のある事業計画に対して機械装置・システム構築費を中心とした投資を支援する点が特徴です。製造業以外も対象となるため、「自社は製造業ではないから対象外」と判断する前に、業種別の中小企業者の定義を確認しておくことをおすすめします。

2026年度の制度再編の動向と本記事のスコープ

2026年度は、ものづくり補助金と新事業進出補助金との統合・再編が議論されており、申請枠の構成や要件の細部は今後変動する可能性があります。一方、最新公募(第22次・第23次)の段階では、従来の2枠体制(製品・サービス高付加価値化枠/グローバル枠)が継承され、補助上限額・補助率も大きな変更はありません。賃上げ加点の整理や提出書類の簡素化など、運用面のアップデートが行われている点が特徴です。本記事は2026年5月時点の公開情報に基づいて記載しており、実際の申請にあたっては、ものづくり補助金総合サイトで最新の公募要領を必ず確認してください。

2026年最新の申請枠と補助上限額

2026年最新公募で設定されている申請枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つです。補助上限は最大4,000万円、補助率は通常1/2(小規模事業者・再生事業者は2/3)で、最低賃金引上げに係る補助率引上げ特例や、大幅な賃上げに係る補助上限額引上げ特例も用意されています。

製品・サービス高付加価値化枠の概要

革新的な新製品・新サービス開発に必要な機械装置・システム投資を支援するメイン枠です。対象となる取り組みは、顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービス開発や、自社の技術力を活かした独自性の高い製品開発などで、製造業の設備投資では中心的な選択肢になります。

従業員数 補助上限額(通常) 補助上限額(賃上げ特例適用時) 補助率
5人以下 750万円 最大1,500万円 1/2(小規模・再生 2/3)
6~20人 1,000万円 最大2,000万円 1/2(小規模・再生 2/3)
21~50人 1,500万円 最大3,000万円 1/2(小規模・再生 2/3)
51人以上 2,500万円~3,000万円 最大4,000万円 1/2

グローバル枠の概要

海外展開を通じて国内の生産性を高める取り組みを支援する枠です。補助上限は最大3,000万円、補助率1/2(小規模事業者2/3)となります。対象となる事業の類型としては、海外進出、海外販路開拓、インバウンド対応、海外子会社活用などがあり、グローバル枠でのみ計上できる経費として、海外旅費・通訳翻訳費・広告宣伝販売促進費があります。海外向けロール材製品の生産設備を導入する際などは、このグローバル枠が選択肢に入ります。

補助率と補助上限額の引上げ特例

最低賃金引上げに係る補助率引上げ特例では、一定の要件を満たす事業者の補助率が2/3まで引き上げられます。大幅な賃上げに係る補助上限額引上げ特例では、補助上限額に100万円~2,000万円が上乗せされます。賃上げ要件と組み合わせて活用すると、補助額が大きく伸びる仕組みです。自社の人件費計画とあわせて、特例の適用可否を早い段階で検討しておくと、申請枠と補助上限額の選択肢が広がります。

補助対象者と主な申請要件

パソコン

補助対象者は、中小企業者・小規模事業者・特定事業者の一部・個人事業主です。業種ごとに資本金や従業員規模の定義があり、いわゆる「みなし大企業」に該当する場合は対象外となります。あわせて、申請にあたっては付加価値額の年率平均向上要件や、給与支給総額の増加要件、事業場内最低賃金の引上げ要件など、複数の基本要件を満たす必要があります。要件未達となった場合、補助金の返還対象となる点も重要なポイントです。

対象となる事業者の範囲

業種別の中小企業者の定義は次のとおりです。製造業・建設業・運輸業は資本金3億円以下または常時使用する従業員300人以下、卸売業は資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下、サービス業は資本金5,000万円以下または従業員100人以下となります。これらに加えて、特定事業者の一部や個人事業主も対象に含まれます。大企業が一定割合以上を出資している場合などはみなし大企業に該当し、対象外となるケースがあるため、グループ会社・親会社との関係も含めて事前に確認しておく必要があります。

賃上げ・最低賃金水準の要件

事業計画期間(3~5年)における給与支給総額の年率平均増加要件と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より所定額以上の水準に引き上げる要件が課されます。具体的な水準は公募回ごとに見直されており、強化される傾向にあるため、申請予定回の最新公募要領で必ず確認してください。要件未達の場合は補助金返還の対象となります。設備投資による生産性向上が、無理のない範囲で人件費の引上げ余力を生み出すかどうかを、事業計画書のなかで定量的に説明できるかが重要です。

付加価値額の要件

補助事業実施期間後3~5年で、付加価値額が年率平均3%以上向上する事業計画であることが必須要件です。付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で算出します。設備投資による売上増・コスト改善・人件費の上昇分が、付加価値額の年率平均3%以上の向上にどう結びつくのかを、事業計画書のなかで道筋立てて説明できる準備が求められます。

補助対象経費の範囲と単価50万円ルール

スリッター機

ものづくり補助金は設備投資を中心とした補助制度であり、機械装置・システム構築費が必須経費となります。単価50万円(税抜)以上の機械装置等を必ず計上する必要があるため、設備投資が伴わない事業計画は対象外となります。

機械装置・システム構築費(必須経費)

機械装置・システム構築費には、機械装置の取得や製作にかかる費用、設備の改造や保守にかかる費用、業務用ソフトウェアや情報システムの構築費が含まれます。スリッター・ロールスリッター・フィルムロールスリッター・ヒートカット機・自動巻取機・両耳自動縫製機といった、ロール材加工の生産設備は典型的な対象です。複数の機械を一つの事業計画に組み込む場合は、それぞれの機械が事業計画上どの工程に位置づけられ、どんな革新性・生産性向上に寄与するのかを、関連付けて説明できる構成にしておくことが大切です。

その他の対象経費

機械装置・システム構築費以外にも、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費が対象となります。グローバル枠では海外旅費・通訳翻訳費・広告宣伝販売促進費も計上可能です。各経費区分には個別の上限や条件が設定されており、例えば専門家経費は時間単価や日額の上限が定められているため、計上前に最新公募要領で確認しておくと、後から修正が必要になる事態を避けられます。

補助対象外となるケース

単なる老朽更新や、既存業務の効率化のみを目的とした投資は対象外となりやすい点に注意が必要です。汎用性が高く事業以外の用途に転用できるパソコン・スマートフォン・周辺機器、土地・建物の取得費用、自社内製の人件費なども、原則として対象外です。「革新性・新規性が事業計画書のなかで明確に説明されているか」が採否を分ける重要要素であり、同じ設備でも、ただの入替えとして申請するのか、新製品・新サービス開発や生産プロセスの革新と紐付けて申請するのかで、評価は大きく変わります。

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申請から採択までの流れとスケジュール

補助金の活用は「申請して採択を受ける」だけではありません。GビズIDプライムアカウントの取得から、公募要領の確認、事業計画書の作成、電子申請、採択結果公表、交付申請、補助事業の実施、実績報告、補助金交付、事業化状況報告までが一連の流れです。準備期間として通常1~2か月以上を見込んでおくと安心です。

第22次・第23次公募のスケジュール

最新の公募回として、第22次公募(公募開始2025年10月24日、申請締切2026年1月30日、採択公表2026年4月下旬予定)と、第23次公募(公募開始2026年2月6日、電子申請受付開始2026年4月3日、申請締切2026年5月8日)が実施されています。公募回ごとに要領は更新され、賃上げ加点項目の整理、提出書類の見直し、加点項目の追加など、運用面の変更が行われます。年度をまたいで申請を検討する場合は、その時点の最新公募要領を必ず参照する必要があります。

GビズIDプライム取得から電子申請までの流れ

電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。取得には通常2~3週間程度を要するため、申請を決めた段階で早めに準備を進めておくのが安心です。電子申請システムでは、事業者情報・経費明細・事業計画書の添付に加えて、決算書、従業員数確認資料、賃金引上計画の誓約書などの事前準備が必要です。第22次以降は口頭審査も導入されており、書面だけでなく、申請内容を自社の言葉で説明できる準備までを含めて整えることが求められます。

採択後の事業実施と実績報告

採択公表後は、まず交付申請を行います。原則2者以上の見積書を同一条件で取得して提出するため、設備メーカーへの見積依頼は採択公表前から準備を進めておくことが、その後の手続きを滞りなく進めるうえで有効です。補助事業実施期間はおおむね10か月程度で、この期間内に、設備の発注・納品・検収・支払までを完了する必要があります。納期管理が採択後の最大のリスクとなるため、見積依頼の段階で、納期・設置工事・試運転・教育訓練までを含めたスケジュールをメーカーと擦り合わせておく必要があります。

見落としやすい「採択後の手続き」が、補助金成功の分かれ目

補助金は「採択された瞬間」ではなく、「実績報告まで完了し、補助金が交付され、その後の事業化状況報告まで含めた一連の流れ」がゴールです。

実績報告では、補助対象経費の支出証憑(見積書・発注書・納品書・検収書・請求書・領収書・銀行振込控等)の整備、設備の検収写真、事業計画との整合性確認など、書類整備の業務量が想像以上にあります。さらに、補助金交付後も5年間にわたって毎年「事業化状況報告」を提出する必要があり、ここで給与・賃金などの基本要件を満たしていない場合や報告を怠った場合は、補助金の一部または全額の返還対象となるケースもあります。

「採択されたら終わり」ではなく「実績報告まで含めて補助事業」という意識で、社内の体制や書類整備のルールを最初から組み立てておくことが、補助金活用を成功に導く分かれ目になります。

採択率を高めるための実務的な4つのポイント

直近の採択率は、第19次31.8%、第20次33.6%、第21次34.1%、第22次37.5%と、30%台で推移しています。申請件数の動向と質の向上が同時に進む「狭き門」の状態が続いており、「設備を入れたいので申請する」だけでは採択されにくくなっています。

本章では、採択を勝ち取るための実務的な4つの観点を整理します。事業計画書の構成、加点項目の積上げ、設備選定の質、そして信頼できるメーカー選定です。検索上位の記事ではあまり扱われない設備選定の視点までを、事業者目線で深掘りしていきます。

採択率の最新動向と審査の厳格化

採択率の低下に加えて、近年の審査は厳格化の方向にあります。第22次からは口頭審査が導入され、賃上げ・最低賃金要件の強化、書類不備による不採択の増加など、運用面でのハードルが上がっています。革新性と実現可能性の両立、付加価値額への寄与の説明、賃上げ計画との整合性、設備選定の妥当性――これらが揃っていない事業計画は通りにくくなっているのが現状です。

事業計画書で押さえるべき4つの審査観点

公募要領では、技術面・事業化面・政策面・大幅な賃上げ加点の4つが審査観点として示されています。事業計画書では、革新性(自社の技術や独自性をどう活かすか)、優位性(既存技術や競合との差別化)、実現可能性(体制・スケジュール・資金)、収益性(投資回収の見通しと付加価値額への寄与)の4視点を、製造業の設備投資の具体例とともに、根拠を持って説明することが大切です。あわせて、ものづくり補助金事務局が公表している「採択事例集(グッドプラクティス集)」を読み込み、採択企業が事業計画書のなかでどのような切り口で革新性や事業化可能性を説明しているかの傾向を掴んでおくと、自社の計画書の構成にも活かせます。

加点項目を最大限活用する(最大6項目)

加点項目の活用は、採択率に直結する重要な要素です。経営革新計画、パートナーシップ構築宣言、DX認定、健康経営優良法人認定、事業継続力強化計画、最低賃金引上げに係る加点、被用者保険、えるぼし認定、くるみん認定など、全15項目程度のなかから、自社が取得可能な項目を見極めて、最大6項目までを目標に取得していきます。項目によって準備期間が大きく異なり、経営革新計画は2~3か月、事業継続力強化計画は1~2週間程度と差があるため、申請予定の公募回から逆算して、準備期間が長い項目から優先的に着手するのが効率的です。加点項目数と採択率には相関があると言われており、計画的な積上げが効いてきます。

設備選定で評価される視点(安全設計・IoT・長期運用)

ここからは検索上位の記事ではあまり扱われない「設備選定そのものが採択評価に影響する」という独自の視点を解説します。事業計画書の「実現可能性」「収益性」「政策面(労働安全衛生・働き方改革)」のいずれにおいても、選ぶ設備の質が評価の説得力を左右します。

審査で説得力を持たせるためには、単に「生産性が向上する」と書くのではなく、(1)段替え時間(段取り替え)や品種切替の所要時間がどれだけ短縮できる設計か、(2)テンション制御・自動研磨・蛇行修正などの機能で、不良率や歩留まりの悪化をどれだけ抑えられる設計か、(3)省力化・自動化機能で、人手をどれだけ削減できる設計か――の3点を、機能の根拠と仕様数値(精度±0.1mm、当社比1.5~2倍の生産性、巻取速度Max 40m/minなど、メーカーが公表している具体値)にひもづけて、可能な限り定量的・根拠ベースで説明することが、補助金の事業計画書の説得力を一段引き上げます。

加えて、安全設計(セーフティライトカーテン・電磁ロック付き安全カバー・非常停止装置など)への対応、IoTによる稼働の見える化と遠隔保守体制、長期運用を支えるアフターサービス・部品供給・改造対応の体制、属人化を解消する操作性(タッチパネル設定・自動変速・センサー検出)といった視点は、「労働安全衛生」「働き方改革」「人材確保」「事業継続」の観点で加点要素にもつながりやすい論点です。設備の見た目のスペックではなく、設計思想までを比較して選ぶことをおすすめします。

設備投資にものづくり補助金を活用する際の注意点

補助金を活用した設備投資には、製造業ならではの注意点があります。本章では、特に見落とされやすい4つの注意点と、典型的な不採択パターンを整理します。

「単なる入替え」では採択されにくい

老朽更新や、既存業務の単純効率化のみを目的とした投資は、対象外となりやすい点に注意が必要です。同じ設備の導入であっても、新製品・新サービスの開発と紐づけた事業計画、あるいは生産プロセスの革新(自動化・省人化・データ見える化・歩留まり改善・蛇行修正・テンション制御による品質安定など)と結びつけた事業計画として組み立てることが、採択への近道です。既存ラインの能力増強であっても、「これまで難しかった素材への対応」「新しい顧客や用途への展開」「品質基準の引上げによる新規受注」などの切り口で革新性を説明できれば、評価につながります。

典型的な不採択パターン

公開されている採択事例集や審査観点から逆算すると、不採択となりやすい典型的なパターンは整理できます。自社の事業計画を提出前にチェックする際の参考にしてみてください。

  • 革新性の説明が薄い:既存設備の単純な入替え・能力増強として書かれており、新製品・新サービス開発や生産プロセスの革新との結びつきが見えない計画。
  • 付加価値額の根拠が薄い:年率平均3%以上の向上の根拠が、定性的な「効率化されるはず」に留まっており、数値の積上げが弱い計画。
  • 賃上げ計画との整合性が取れていない:給与支給総額の増加や事業場内最低賃金の引上げが、収益計画と矛盾している、または無理がある計画。
  • 単価50万円ルールに合致しない:機械装置・システム構築費が単価50万円(税抜)未満のものばかりで構成されており、必須経費を満たしていない計画。
  • 事業実施期間内に検収が間に合わない:補助事業実施期間内に発注・納品・検収・支払までを完了できないリスクが高い、納期管理が甘い計画。
  • 書類不備:提出書類の不足や記入漏れ、加点項目の証憑書類の不備による形式的な不採択。

これらのパターンは、事業計画書のレビュー段階で社内で潰し込んでおくことができる項目です。提出前のセルフチェックリストとして活用することをおすすめします。

納期遅延と事業実施期間のリスク

機械装置の納期遅延により、事業実施期間内に検収が完了しない場合、補助金対象外となるリスクがあります。特に、別注機・改造機を含む計画では、標準機より納期に余裕を持つ必要があります。見積依頼の段階で、納期・設置工事・試運転・教育訓練までを含めたスケジュールをメーカーと擦り合わせること、進捗の定期確認のタイミングを決めておくことが、納期管理の基本です。設備メーカーを選ぶ際の確認事項として、納期遵守の実績や、納期遅延が発生した際の対応体制も忘れずに確認しておきましょう。

アフターサービスと長期運用視点(採択後の書類整備)

採択後の実績報告や事務手続きでは、補助対象経費の支出証憑(見積書・発注書・納品書・検収書・請求書・領収書・銀行振込控)、検収写真、事業計画との整合性確認資料など、整備すべき書類が想像以上に多くなります。発注の段階から、書類整備を意識して保管・管理しておくと、実績報告時の手戻りを大きく減らせます。さらに、設備は10年・20年と長期にわたって稼働する資産です。納品後の保守・部品供給・改造対応・遠隔診断といったアフターサービス体制があるかどうかは、補助金で導入する設備こそ慎重に確認しておきたいポイントです。長期にわたって伴走できるメーカーを選ぶことが、補助金活用の成果を最大化する条件になります。

稼働後のアフターサービスの考え方や具体的な仕組みについては、関連コラム「IoTでリモートメンテナンス」「トラブル前後のカメラ自動録画機能」もあわせてご覧ください。

補助金活用と相性が良い設備選定の視点

ここまで解説してきた「採択評価につながる設備選定の視点」を、当社(株式会社キンダイ)がどのように設備に落とし込んでいるかをご紹介します。当社は1945年創業の自動機器メーカーとして、スリッター・ロールスリッター・フィルムロールスリッター・ヒートカット機・自動巻取機・両耳自動縫製機など、ロール材の切断・巻取・縫製工程を担う産業機械を製造してきました。

標準機~別注機までの一貫対応

補助金申請では「自社の生産プロセスに合致した革新的な設備」が求められます。汎用の標準機をそのまま導入するよりも、自社の素材・工程・品質要件に合わせた仕様検討ができるメーカーを選ぶことで、事業計画書の革新性・実現可能性の説得力が高まります。当社では、ロールスリッター・スリッター・フィルムロールスリッター・ヒートカット機・自動巻取機・両耳自動縫製機といった標準機ラインナップに加えて、別注機・改造対応にも幅広く応じています。フィルム・粘着テープ・不織布・紙・金属箔・ラミネートなど、対応できる素材の幅も広く、少量多品種への対応も可能です。設計開発・製造・販売・アフターサービスまでを自社一貫体制で行っており、構想段階からのご相談に応じられる点が特徴です。

製品カテゴリ 代表機種例 精度・能力 特徴・想定用途
高速全自動ロールスリッター KC-316A 機械送り精度±0.1mm/最小スリット幅2mm~/原反幅~1600mm スリットデータ見える化、6段階予約設定、3段階自動変速、刃先自動研磨、原反端・径の自動検出
スリッター(ロールtoロール) KT-702C スリット幅精度±0.1mm/切断速度MAX 40-60m/min/原反幅~1600mm 方式選定(シャー/レザー/スコア等)、テンション制御、蛇行修正、パスライン短縮で省スペース
2軸ターレット式フィルムロールスリッター FKC-T2 機械送り精度±0.1mm/刃物回転数Max 2000rpm/最小スリット幅5mm~ 1軸比1.5~2倍の生産性(当社比)、サーボモーター採用、初心者でも扱える操作性
ヒートカット機(標準) KT-602A 最高刃先温度約350℃/ヒートカット精度±0.1mm フリー回転丸刃に熱を加え溶着しながら切断、ホツレ防止
自動巻取機 KW-316EF 巻取速度Max 40m/min/原反幅~1600mm テンション一定制御、耳揃え調整の容易化、改造・別注相談に対応
両耳自動縫製機 KT-480E 機械送り速度Max 20m/min/原反径260-1100mm 左右同時縫製、糸切れ検出センサー、縫製後の折り畳み・巻取・定寸裁断の選択が可能

ロール材加工の機種選定の考え方については、関連コラム「ロールスリッターとスリッターの違いと特長を解説」「スリッター業界のパイオニア、ロールスリッターの機種選定方法」もあわせてご覧ください。

IoT・見える化・遠隔保守による生産性向上

補助金の事業計画書で訴求しやすい「生産性向上」「省力化」「歩留まり改善」を裏付ける機能群として、当社は複数の独自技術を展開しています。IoTによるリモートメンテナンスでは、世界各地の拠点から遠隔で制御装置やタッチパネルの診断・操作を行え、暗号化通信でセキュリティを確保しています。出張回数の低減と修理時間の短縮に寄与し、停止時間の圧縮に直結します。停止信号をトリガーにトラブル前後を自動録画する「チョコ停ウォッチャー」では、原因追及と復旧時間の短縮を支援し、現場のチョコ停改善を見える化します。加えて、スリットデータを見える化する次世代タッチパネル、自動変速・自動研磨・蛇行修正・テンション制御といった機能群により、加工条件のデジタル管理と品質の安定化を実現しており、精度±0.1mm、当社比1.5~2倍の生産性向上といった数値根拠は、事業計画書のなかで「何がどれだけ改善できる設計か」を具体的に示すための材料になります。

安全設計と大手メーカーへの納入実績

当社は上場企業を含む大手メーカーとの直接取引が多く、セーフティライトカーテン、電磁ロック付き安全カバー、非常停止装置、原反挿入時の自動停止機構など、安全仕様への対応実績があります。新人の方や女性の方にも安心して使える機械設計を、長年にわたり追求してきました。補助金審査の「労働安全衛生」「働き方改革」「人材確保」の観点でも、安全設計に強いメーカーを選ぶことは事業計画書の説得力を底上げします。属人化を解消するタッチパネル設定・自動変速・センサー検出といった操作性の設計思想も含めて、現場の人材確保・育成の課題を解決する観点で評価されます。

まとめ | ものづくり補助金

キンダイ

ものづくり補助金は、製造業の設備投資を後押しする強力な制度です。一方で、補助金活用の本質は「入口の補助率」ではなく「出口の運用」にあります。設備は10年・20年と稼働する資産であり、納品後の運用が事業継続性を左右します。

「機械は10年20年動く。だからこそその後のやりとりが重要なので、小まめに対応してくれるメーカーが一番いい」――当社のお客様の言葉です。補助金で導入する設備こそ、長期にわたって伴走できるメーカーを選ぶ重要性は、入口の補助率以上に大きな差を生みます。採択を勝ち取り、実績報告まで完了させ、設備を長く活用するためには、(1)革新性と実現可能性の両立した事業計画書、(2)加点項目の計画的な積上げ、(3)安全設計・IoT保守・別注対応・アフターサービスの観点で信頼できるメーカー選び――の3つを揃えていくことが近道です。本記事が、補助金を活用した設備投資の意思決定の一助となれば幸いです。

お問い合わせのご案内

ロール材の切断・巻取・縫製工程の自動化設備をご検討中で、ものづくり補助金の活用もあわせてお考えの方は、当社(株式会社キンダイ)までお気軽にご相談ください。標準機から別注機まで、貴社の生産プロセスに合わせた仕様提案・テスト加工・お見積りまで一貫して対応いたします。設備は10年・20年と稼働する資産だからこそ、長くお付き合いできる体制を整えています。

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この記事の監修者

寺内 亮
専務取締役
寺内 亮
Ryo Terauchi

創業1945年産業機械開発メーカーである株式会社キンダイにて、スリッターやヒートカット機など多様な自社製品開発に従事。
40製品以上の特許・実用新案を取得してきた技術基盤を持つ同社において、2017年より海外展開を本格化し、ベトナムやタイをはじめとする東南アジア諸国へ展開。
現在はIoTやAIを用いて現場に蓄積されたアナログ情報を可視化し、判断や操作を支援することで、新人でも簡単に扱えるモノづくりを進め、新規事業開発にも貢献している。